担当医は、先ずこの鼠径部ヘルニアという病気の概略について丁寧に説明してくれました。記憶が若干曖昧ですが、、内容は以下の通りです。
「鼠蹊部ヘルニアですが、おなかの中には小腸や大腸があり、それを筋肉の板が取り巻いています」「ただこの板は、1枚の板のような構造ではなく、継ぎ目がある板です」
ということで、今私の頭の中には、数枚の筋肉の板が継ぎ目を伴って連結しているというイメージがあります。水不足でひび割れた地面のイメージかもしれません。
「この継ぎ目の部分がちょうど足の付け根の内側部分にありますが、運動不足や加齢等、様々な理由で筋肉そのものが弱ってくると継ぎ目の部分が緩くなります」
とのことで、要するに筋肉の板と板の間の継ぎ目がもろくなり、そこにほころびが生じるということで、私がネットで調べて得た知識と同じ内容でした。
「このほころびの穴が大きくなると、そこから腸の一部が顔を出すことがあります」「これが鼠径部ヘルニアと呼ばれている状態ですが、通常は上からちょっと押してあげると元に戻ります」
「ところが穴が大きくなって腸が飛び出した状態で、逆に穴が閉まると、飛び出した腸が元に戻れなくなり、ここが壊死して様々な病態を引き起こします」
「これが俗にいう脱調とかカントンと呼ばれる状態で、できればこうなる前に直した方が良いです」と手書きの図を書きながら、丁寧に説明してくれました。
ただし治し方となると、「筋肉の継ぎ目を薬や運動で治すことは不可能なので、手術しか方法がない」ということでした。
幸いにも私の症状はまだそれほど激しくないので、「日常生活に注意すれば、手術を急ぐ必要はありません」とのことでした。またこの診断の最終確定には、「CTによる画像撮影が必要です」とのことで、とりあえず少し手術に対して時間的余裕があることが分かりました。
次に病気の説明の後、日常生活の注意点の話がありました。結局筋肉と筋肉の継ぎ目は、自力で体が勝手に補修することは出来ないので、手術で直すしかないというが前提になります。
私の現状は、腹膜が筋肉の境目から少し顔を出している程度なので、日常生活を送るとき、以下のことに注意すれば、とりあえずは大丈夫でしょうということでした。
1 病気の原因をきちんと理解すること、これがまず大前提です
2 次に顔を出しても軽く押してあげて引っ込むようなら、緊急手術という状態ではない
3 引っ込まず、飛び出た状態のままだと、便が詰まる、炎症が起きる、強い痛みが生じる、最悪壊死するので注意が必要
4 従って、日常生活では、なるべく顔を出さないように意識する
5 そのために、腹筋に力が加わるようなことは出来るだけ避ける(腹筋に力を入れると腸全体が締め付けられ、ほころび部分から飛び出やすくなるということだと解釈しました)
6 腹筋に力が加わるときは、具体的にどんなときかというと
・ 重いものを持ち上げるとき
・ 咳やくしゃみを激しくするとき(風邪をひけないなと思いました)
・ トイレで力むとき(便秘を避ける)
・ 長時間の立ちっぱなし
・ 無理な姿勢を続ける
・ 体重増加
7 上記6のような力をどうしても加える必要があるときは、自分の手で腹部を抑えていた方が良い
といったようなことで、結構日常生活に支障があるなと感じます。サラリーマンの方だと、この状態で通常の勤務を続けるのは難しいのではないでしょうか。
私自身もこういった制約を考えると、好きなウォーキングも控えめになりそうだなとか、仕事中は、適度に椅子に座って休憩しないといけないなと思いました。