トイレを済ませて就寝

 夕食後に先ずは痛み止め(ロキソプロフェン60mg)と胃の荒れを防ぐレバミピド100mgを服用。さらに便を柔らかくするという薬も飲みました。

 手術後は痛みが強いので力むことができないので便秘がちになるそうで、それを避けるための薬です。力まなくても出しやすいという事だと思いますが、実際にはそう簡単にはいきませんでした。

 食後は、先ず小用のためトイレへ行きましたが、これが術後の痛みのピークでした。人間が動くときは、必ずと言ってよいほどどんな動作でも腹筋を使っているんだということがよく分かりました。

 起き上がる、立ち上がる、歩く、ドアを開ける、立った状態を維持する、小用をする、これらの動作すべてに腹筋が伴い、そのたびに「グワ〜ン」という痛みが襲ってきます。

 トイレまでの距離はたかだか5mぐらいですが、先ず痛みに耐えながら上半身を起こし、次に両手を使って足を持ち上げ(足だけを持ち上げようとすると腹筋が必要になり痛いからです)静かに床の上に下します。

 次に看護師さんが「杖代わりにして」と置いて行ってくれた点滴台を左手で持ち、右手はベッドの仕切りの板の上へ。両手で上半身を持ち上げるようにして、なるべく腹筋を使わないようにするのですが、ともかく痛い。

 少しずつ少しずつ立ち上がり、ようやく直立します。そこから足を持ち上げると痛いので、すり足で1歩20cmぐらいの間隔で歩きます。この時は看護師さんもその動きを見守ってくれていましたが、麻酔後は立った瞬間にふらふらする人も多いそうです。

 私の場合はふらつきは全くなかったですが、ともかく「痛い痛い」と言いながらトイレに向かいました。看護師さんも「手術後のトイレはどんな人でもそう言います」と言っていましたから、叫んで痛みがまぎれるなら、どんどん声に出した方が良いなと思いました。

 というわけで、必死の思いでトイレに入り、何とか痛みを耐えながら便器の前に立ち、しばらく待っていると、これは幸いなことに、特に腹筋を使うまでもなく、尿が出始めました。点滴もしていたせいか、かなりの量が出てびっくりです。

 ネットの記述では、出なければ導尿管が入れられるというような話もあったので、出るか出ないか、かなり心配でした。

 小用を無事終え、再びベッドへすり足で向かいます。腰を下ろすときは両手でベッドのあちこちを持ち、なるべく腹筋を使わないようにします。何とかベッドに腰を下ろして、足をベッドの上に持ち上げるにも両手で自分の足を持って引っ張り上げ、ようやくベッドの上に落ち着きました。

 トイレからベッドに戻って、痛み止めが効いてくるのをじっと待ちます。だいたい服用してから1時間程度かかるようです。また持続時間は6時間程度だそうです。

 つまり夜8時ごろ飲むと、深夜に薬効が切れて明け方は痛くなるということです。9時近くになってようやく少し薬の効果を感じ取れるようになりましたが、10割だった痛みが8割程度に減ったかなと言う程度です。

 しかし「じたばたしてもしょうがない。ともかく傷口を治すことが最優先だ。そのためには寝るしかない」と思い、うつらうつらと過ごします。幸いなことに自分では寝やすいと思っている右側を下にした姿勢は、左側に圧力が加わらないのか、それほど痛みは感じません。ただその姿勢になるまでが大変でした。

 そんな状態で寝入って、深夜に何回か目覚めました。途中痛みを我慢して仰向けになったりしましたが、左側を下にして寝ることができず、寝返りへの欲求不満が募りました。

 それでもいつの間にか寝入ったらしく、なんとか無事に朝を迎えました。6時に検温。入院中は検温と血圧測定が頻繁に行われましたが、私の体温はだいたいいつも36.3℃ぐらいありました。

 血圧の方は、当初160/90といった高い値が出ることもありましたが、数日後には140/85ぐらいのいつもの値に落ち着きました。

 検温後にまた別の看護師さんが来て、「痛ければ食前に痛み止めを飲んでもいいですよ」と言ってくれました。どうやら痛み止めは食後という指示をそれほど厳格に守らなくても良いようです。痛いのですぐにその場で服用しました。

 ただし痛みは昨晩の手術直後に比べると少し引いていました。なるほどこの調子なら、体力のある元気いっぱいの人なら1泊2日の予定で夕方ぐらいなら退院も可能なのかなと思いました。

 しかし元々体力があまりなく、痛みにはからきし弱い私には到底無理。ネットの情報を改めてよく見ると、日帰り手術とか1泊2日の手術を高らかに歌っているのは病院側のサイトだけです。

 つまりこのうたい文句を患者側が読むときは、その言葉の前に「無理すれば」とか「元気で体力がある人なら」若しくは「痛み止めを常時服用して」という語句が付くのだと感じました。

 さらに細かくネットの情報を見てみると、鼠蹊部ヘルニアの入院日数と言う調査もあって、もっとも多かったのが3泊4日でした。医師にも聞いてみましたが、術後あまり早くから動き回ると回復が遅くなるというようなニュアンスでした。

 ただ仕事のある方は、1日でも早く復帰しないといけないというプレッシャーがあると思います。7時半ごろ回診があって傷口を見せると、「ちょっと脹れているけど、出血もなく順調です」とのことで、とりあえず安心しました。?


手術翌日の痛み


手術


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