鼠径部ヘルニアの手術

 当初、鼠蹊部ヘルニアについて調べていた時、治療というか直すためには手術しかないという記述を見て、人生60年余りを生きてきて、手術や入院という経験のない私はショックを受けました。

 しかし万が一、手術を先延ばしして「嵌頓」という状態になったら大変なことになるという危険性だけは理解できましたので、いずれやらなければならいという事は覚悟しました。

 その上で「いつやるのか」ということと、「どんな手術をするのか」、「予後はどうなのか」、さらに「費用はどのくらいかかるのか」ということが気になり、さらに気合を入れてネットの情報を調べました。

 先ず手術のタイミングですが、診断が確定したら早い方が良い、というのが一般的な見解のようです。まあ待てば待つほど筋肉の境目は広がってしまうというのが主たる要因です。

 またいつなんどき、押せば引っ込む状態から、「嵌頓」という進退窮まった状態に移行するかは誰もわからないということです。実際私が手術を決断した後、何回か大学病院に行っていますが、予約をしたのに担当医師が緊急手術でなかなか順番が来ないという事が何回もありました。

 それだけ切羽詰まって担ぎ込まれる人が多いという事で、なおかつ先延ばしにすれば、腹膜と組織の癒着が起こったりもするようで、手術そのものも難しくなるような印象を受けています。

 というわけで結論は上記の通り早い方が良いというもので、あとは自分自身の仕事の都合等に合わせるしかないという事です。

 次が手術の方法ですが、要は境目から飛び出てくる腹膜や大腸、小腸を抑え込めばよいだけです。そのためにはどうしたらよいか、という事になるわけですが、方法そのものは細かく分けると何種類もあるようです。

 素人でも考えられる一番オーソドックスな方法は、境目を構成している二つの筋肉を無理やりつなぎあわせるという方法で、これは昔の手術でよくやられていたようです。

 しかしもともと分離して動くはずの筋肉を無理やりつなげるわけですから、術後の経過が良くないなと思えるのは当然だと思います。ただ昔はそういった方法しか考えつかなかったか、若しくは技術が底まで進歩していなかったという事だと思います。

 というわけで最近主流になっている方法は、腹膜と筋肉の間にメッシュと呼ばれる人工の網のようなものを入れるという方法で、網の形状や種類によって手術方法の名前も異なるみたいです。

 体内に異物が入れば、基本的に免疫系がその異物を攻撃するような気もしますが、そのあたりは十分考慮されて手術が行われるのだと思います。

 ちなみにメッシュというのは、私も手術前に見せてもらいましたが、台所の三角コーナーに設置してごみを取る網のようなものです。ただ形状記憶になっているということで、体の中で広がるようなイメージでしょうか。

 あとは手術のやり方になりますが、要するに鼠蹊部を切開し、そこにこのメッシュを筋肉と腹膜の間に入れて縫合するという事になります。広がったメッシュそのものの大きさは、見た目で7×10cmぐらいありました。

 こんなものが今も私の体の鼠蹊部に入るのかと思うと、なんだか体に傷が付いたようでがっかりしますが、まあやむを得ません。というわけで、次は具体的にどうやってこのメッシュを挿入するのかという話になりますが、これは体験談を読んでいただきたいと思います。

 なお病院によっては手術前に浣腸をしたり、手術後に導尿管を挿入されるというような記述もネット上で見られましたが、私の場合はそういったことは一切ありませんでした。


鼠径部ヘルニア手術の予後と費用


鼠径部ヘルニアとは


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