手術後目覚めてみると

 今回は「眠くなるぞ」と多少身構えていて、眠る瞬間というのを何とか意識しようと試みたのですが、そういった努力は全く報われず、声を聴いて1分もしないうちに眠り込んだようです。

 ちなみに体内を血液が一周する時間は、全血液量(およそ5L)と心臓が1回拍動して押し出す血液量(約80mL)、1分間の拍動数(60回ぐらい?)から計算出来て、約1分となります。

 つまり腕の静脈に入った睡眠薬は心臓を経て脳に循環することになるわけで、この距離なら足先よりも早く循環しそうなので30秒ぐらいで到達ということになりそう。

 さて眠り込んだ後に手術開始となるわけですが、その間どのようなことが行われていたのかは、手術後の覚醒時点での状態から推測するしかありません。

 まずは気管にチューブが差し込まれ、人工呼吸の開始。同時に下半身を完全に露出させられ、何とも恥ずかしい格好で手術開始。とはいえ当人は昏睡中ですから、恥ずかしいもへったくれもありません。

 剃毛はされず、右鼠径部の7cmほど上のあたりを、水平方向にメスで切開。あとは神経を傷つけないように患部を露出し、筋肉と腹膜の間にメッシュを挿入。(と思っていたのですが、手術後に確認したら若干の剃り跡がありました)

 最後に縫合して、気管に挿入した管を抜いて終了ということになるのだと思いますが、出血はほとんどないということでした。ただし「ほとんどない」というのがどのくらいの量なのかは分かりません。

 というわけで当の本人は「眠くなります」という声を聴いて、数十秒で意識を喪失。「○○さん、手術終わりましたよ。起きてください」という声掛けが聞こえるまではあっという間。

 ただ全身麻酔ですから、起きた当初は朦朧。最初は自分がどこにいるのか分からなかったような気がします、徐々に意識が戻ってきて、周囲に医師や看護師さんがいることを確認。

 「ああそうか、鼠径部ヘルニアの手術を受けたんだ」と思った瞬間、喉が妙にがさついていることを意識。咳ばらいを10回ぐらい繰り返したと思いますが、10回目ぐらいの時にひときわ大きな咳払いが出て、同時に痰の塊が口の中に。

 仰向けに寝ている状態ですから、そのままだと気管が詰まってしまい、この時はちょっと慌てて口の端からその痰を押し出そうとしました。

 するとその様子を見ていた看護師さんが素早く「ちょっと待ってください」と言いつつティッシュを用意。私が押し出した痰をティッシュで拭ってくれ、その後呼吸がずいぶん楽になりました。

 とはいえ咳払いはその後も寝るまで続きました。ちなみに手術が終わって下半身露出状態から、大人用のオシメが装着された様で、そのことはあとで病室に戻ってから、トイレに行く段になって初めて気が付きました。

 手術後に小や大をもらしてしまう人もいるようです。なおこのオシメ。私が良く見るテレビ番組笑点のコマーシャルでよく出ている「ライフリー」というものでしたが、大人用は結構大きく、コマーシャルでいうところの「誰も気が付かない」というのはちょっと誇張かも思いました。

 ただ装着していたこと自体はトイレに行こうと思ったときまで意識していなかったので、装着感は良かったのだと思います。 



手術室から病室へ


自宅で療養


トップページへ